第十二回「フデリンドウ」
フデリンドウは畔道や林縁の小道に咲く、里山の春を代表する花の一つです。一つの株についている花は、多くが一輪から数輪です(写真①)。秋に芽を出し、春に咲いて一生を終える花なのに、一株でどうしてこんなにいっぱいつけているのだろうと不思議に思うほどの花を咲かせることもあります(写真②)。曇りの日や夕方には花を閉じてしまいます。
名前の由来は、つぼみが筆のように見えるからだそうです(写真③の上の方にあるつぼみ)。筆竜胆と書きます。秋に咲くリンドウ(写真④)の仲間です。それにしても竜の肝とはいったいどういうことでしょう。調べてみると、中国の漢方に由来し、胃薬となる苦い熊の胆(くまのい)よりももっと苦い薬なので、動物の中では最強と考えられていた竜の名前を付けられたそうです。もっとも、春に咲くこのフデリンドウは薬にはなりません。
春に咲くリンドウでは、コケリンドウも印西で見られる花です(写真⑤)。日当たりのよい草地が好きなのでしょう、古新田川の上流部がまだ開発される前の原っぱだったころ、たくさん見られました。当時は明るい雑木林の中にフデリンドウの小さな青い花が縁取るように咲いている小道があって、夢のような美しい里山風景がありました。
写真添付: ①フデリンドウ ②大株のフデリンドウ ③フデリンドウ つぼみつき
④リンドウ ⑤コケリンドウ
いんざいの生きもの紹介
NPO法人 亀成川を愛する会 理事長
森林インストラクター 小山尚子
写真提供 亀成川を愛する会
亀成川を愛する会からのお知らせ
里山の草花を守るためのセイタカアワダチソウ引っこ抜き
日時 5月18日(日)午前9時20分~12時
内容 フデリンドウなど、里山の草花が見られる場所にセイタカアワダチソウが侵入してきています。セイタカアワダチソウは、アレロパシーという毒を出します。自分が繁茂するための戦略ですが、近くの植物には害となります。これを根っこから抜き取ります。すっぽり抜けると気分爽快。
千葉ニュータウンニュース5月号より