体やこころなどのつらさを総合的にやわらげるケアを「緩和ケア」と呼びます。
「緩和ケア病棟」(いわゆる「ホスピス」)は、」緩和ケアを専門に行う病棟です。
積極的に手術などの治療を行うのではなく、病気による体の痛みや心の苦しさを和らげて最期まで穏やかに過ごすための施設であり、そのようなケアを行うプログラムのことでもあります。
ホスピスが誕生した理由
これまでの医療は、治癒させることに専念するあまり、治癒できない場合の対応がほとんど考えられていませんでした。治癒できなければ延命を講ずる。
それは、「検査・診断・治癒・延命」という4つの働きが病院の目的と考えられてきたからです。
お医者様は、患者様の命を助ける事、「少しでも長く」生きてもらうことが使命ですから、「もうこれ以上は無理です」とは言えません。しかし、最近では。最後までの延命治療ではなく、穏やかに自分らしく、尊厳を持って、その時を迎えたいという考えも支持されるようになってきています。
さて、どんな病気でも、ホスピスに入院できるのかというと、そうではありません。現状では、悪性腫瘍とエイズ疾患にかかり、症状が末期であることを条件にしているところがほとんどです。末期なら、どんな病気の方でも、ホスピスケアが受けられるのが理想ですが、発症頻度、症状の深刻さなどで、決められているようです。
緩和ケア病棟という、厚生労働省の承認を受けていないところもありますので、お近くのホスピスの窓口で相談してみてください。
ホスピスでは、専門家のチームにより、病気による痛みや苦しみを和らげる緩和ケアが行われます。
緩和ケアは患者様だけでなくその家族も対象です。費用は国の保険制度などをうまく利用することで抑えることができます。
緩和ケア病棟の入院費用は、厚生労働省から、緩和ケア病棟として承認を受けた施設の場合、入院料は、1日単位で、診療報酬点数が決まっている定額制です。
ホスピス・緩和ケア病棟では、
①入院料の自己負担分
②食費の自己負担分
③差額ベッド料
などが必要になります。
①の入院料は厚生労働省から認可された施設においては定額制で、47,910円で、加入している健康保険により自己負担額が決まります。通常は、1~3割負担だと思います。
ホスピスに入る時期は、病気の状態が終末期になってからと思っていませんか?実際には積極的な治療を行うよりも、体のつらさや心の苦しみを和らげる処置を中心に行った方がよいと主治医や患者様自身が感じた時点で入ることができます。
緩和ケアは、患者様の自宅でも受けることができます。病院の「緩和ケア外来」に通院したり、「在宅緩和ケア」を行っている開業医のサポートを受けたりしながら、最期まで自宅で過ごすことも選択肢としてできるようになっています。
今後の療養生活をどのように進めていきたいのか?療養場所や、費用の問題も含めて、担当医と相談していきましょう。
第40回 相続と終活の相談室
行政書士
家族信託専門士 中家 好洋
千葉ニュータウンNEWS7月号より