第50回 相続と終活の相談室
― もしもの時、家族が困らないために ―
「特に決めていることは、何もないんです」終活の相談に来られる方の多くが、最初にこうおっしゃいます。少し照れたように話される方もいれば、「何もしていなくて申し訳ないのですが」と遠慮がちに話される方もいます。
けれど実は、この言葉はとてもよく聞く言葉です。
特別なことではありません。多くの方が、何も決めていないまま日々の生活を送っています。
ただ、相続や終活の相談を受けていると、「何も決めていないこと」が、ご家族を困らせてしまう場面に出会うことがあります。
あるご家族が相談に来られたときのことです。
親御さんが入院され、病院から今後の治療について家族で話し合うように言われたそうです。
ところが、ご家族はこう言いました。
「本人がどう思っていたのか分からないんです」
延命治療をどこまで望んでいたのか。
自宅で過ごしたかったのか。
それとも家族に任せるつもりだったのか。
どちらを選んでも間違いとは言えません。
けれど、本人の気持ちが分からないまま決めることは、ご家族にとってとてもつらいことです。
「元気なときに、少しでも聞いておけばよかったですね」
その言葉が、とても印象に残りました。
終活というと、財産や相続の話を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、お金のこと以上に、ご家族が悩むのは本人の気持ちが分からないことです。
別のご相談では、70代の男性がこんな話をしてくださいました。
「友人が倒れたとき、家族がとても大変そうだったんです。
それを見て、自分も少し考えておいた方がいいと思いました」
その方は、まだ何かを決めているわけではありませんでした。
それでも、「考え始めた」ということ自体が、とても大切な一歩なのだと思います。
終活というと、「すべて決めておかなければならない」と思われがちです。
けれど、最初から答えを出す必要はありません。
例えば、
「延命治療については家族に任せたい」
「できるだけ自宅で過ごしたい気持ちはある」
その程度の言葉でも、ご家族にとっては大切な手がかりになります。
エンディングノートも同じです。
すべてのページをきれいに埋める必要はありません。
以前、70代の男性がエンディングノートを持って来られたことがありました。
中を見せていただくと、ほとんどのページが白紙でした。
ただ、最初のページに
「家族に迷惑をかけたくない」
と一行だけ書かれていました。
「これだけしか書いていないんです」と、その方は少し心配そうに話されました。
でも私は、「それで十分だと思います」とお伝えしました。
その一行があるだけで、ご家族は
「父はこう考えていたんだ」
と感じることができるからです。
60代、70代の今は、まだ体力も気力もあり、落ち着いて考えることができる時期です。
だからこそ、「もしもの話」も重くなりすぎずに話すことができます。
体調を崩してからでは、考える余裕がなくなることもあります。
また、ご家族も遠慮して聞きにくくなってしまうことがあります。
終活は、何かを完璧に決めるためのものではありません。
自分の気持ちを少し言葉にしておくこと。
それだけでも、ご家族にとっては大きな助けになります。
「何も決めていない」と思っている方こそ、実は終活の出発点に立っています。
まずは、今の気持ちを少し考えてみること。
そして、機会があれば家族に話してみること。
その小さな一歩が、家族を助け、そして自分自身の安心にもつながっていくのだと思います。
下記は弊所のホームページです。
エンディングノート・終活の手引き等資料 プレゼント 0120-47-3307 へ連絡ください。

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行政書士
家族信託専門士 中家 好洋
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